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化現せし【亡霊】

ファントム楽しみですね!
という事で、また書きたいなと思っていた自キャラ小説第二段を書いてみました。
あまり執筆経験もないので気になる点も多いでしょうが、楽しんで頂けたら嬉しいです!

こちらも読んで頂けると話が分かりやすいと思います
キャラ設定→こちらステータス古いです
第一弾→こちら今回より前のお話


近年、虚空機関では「後継クラス」の開発が盛んに行われている。
後継クラスは一芸に特化した通常クラスとは違い、既存の全クラスをベースに様々な状況に対応できるよう洗練させたクラスとなっている。
バレイバー・バウンサーにも理念自体はあったが、当時は既存クラスと横並びで開発された為そこまで複雑な設計は盛り込まれていなかった。
後継クラスは今のところ、打射法全てを高いレベルで使用できその上で個性を付けられている。
初めてそれに該当するヒーローは、戦闘中にフォトンを蓄積しダメージを受けそのフォトンが発散してしまうまで驚異的なパフォーマンスを得るという試みがなされていた。

そんな今ではアークスの大きな力となったヒーローだが、このクラス発足当時は【敗者】の支配から離れて尚力への追及を止めなかった虚空機関の一部の所員により、アークスの身体強度を無視した無謀な調整が行われていた。
だがそれがとあるアークスにより明るみに出た結果情報部の徹底的な調査・追及により、問題があった所員が処罰され、再編された虚空機関によりヒーローの再調整が行われた。
更に、それによって得られた研究成果から既存クラスにも大幅なアップデートが成され、多くのアークスがそれ迄と比べ比類なき力を得ていた。

余談だが、虚空機関の闇を公にしたアークスは赤き装衣を纏う魔法戦士だったという噂が流れた。
だが本人が公になるのを嫌った為か真相が一向に公表されずやがて都市伝説となっていった。

結果的に虚空機関は全く別物へと生まれ変わっており、当時からルーサーに疑念を感じていた所員と、新しく加わった新進気鋭の所員により次の後継クラスである「ファントム」の開発が行われた。
その開発の過程では、戦闘記録から虚空機関の目に止まった特性を持つアークスが協力を要請されていた。
ランカードもその一人として虚空機関に呼ばれたのだ。
過去の出来事から協力する決断は簡単では無かったが、今も虚空機関が存在している以上実態を見ないでおくのは無責任かなと、申し出を了承する事にした。


そんなランカードを出迎えた所員は、同じ位の年代らしきニューマンの女性だった。
彼女は虚空機関再編成の際に新しく加わった研究員らしい。
「あなたの事は聞いていますよ、来てくれてありがとう。今日はよろしくお願いします。」
彼女はそう言って微笑むと、データを閲覧しながら対話が出来る検討スペースにランカードを招き入れた。

「なる程、ファントムはヒーローは逆にエネミーに自身のフォトンを蓄積し、起爆すると」
「ええ、それによってエネミーの攻撃を阻害したり、サポート的な役目もこなせるの」
「ここのフォトンの出力はちょっと無謀じゃないですか?意外とここを狙われる状況ありそうですよ」
「迷ったんだけどそうかしら?やっぱり実戦経験が無いとわからない事も多いわね。再度検討してみます。」
・・・


ファントムについての激論を交わし、昼頃から始まった議論が一段落ついたのは明け方になってからだった。
「おつかれさま!ありがとう、とっても参考になりました」
「ははは・・・さすがに疲れましたね。つい熱が入る議題が多くて」
「それでこそお呼びした価値があるってものですよ。ファントムはヒーローよりも大分テクニックに力を入れてますからね」
長時間の議論ですっかり打ち解けたのか、彼女の口調は大分柔らかくなっていた。

ランカードとしても、様々な現象を起こすテクニックに興味があり、個人で研究・実践に取り入れ、「六属統合者」を名乗っている程なので、実際楽しい話題が多かった。
思えば昔父さんもテクニックをよく研究していたな。
その事を話す時も饒舌になっていたし、多分あれはDFの影響じゃなくて素だったんだろうな、となんとなく思った。

ルーサーの事を思い出したランカードは、ふと、とある場所の事を思い出した。
するとどうしてもそこが気になってしまい、彼は所員にこう告げた。
「あの、もしよかったらちょっと行って見たい場所が・・・」
と、その部屋の事を説明した。
「あそこでしたら、元々古くて特に使う予定もなかったのでそのままですよ。でも、うちの中でも一番頑丈な部屋があそこまでぼろぼろになるなんて何があったのかと思っていましたが、そういう事だったんですね」

そう言うと所員は席を立ち、ランカードを案内しその場所へと向かった。
到着すると、怒られちゃうからこれ以上壊さないでくださいね、何て冗談を言いつつ気のすむまで居ていいですからね、と鍵を開けた後は退出してくれた。

ランカードは、ありがとうございますと告げ彼女が出ていくのを確かめると、当時のままのぼろぼろの部屋を見渡した。
ここにいると込み上げてくる過去の出来事に思いを馳せていると・・・あの時使った彼女のフォトンの感覚を感じ取った。
「まだ、ここに残ってたんだ」
そのフォトンはもう彼女の意思を具現化する程の強さではないが、とても懐かしく、そして温かく彼を包み込んだ。

ミナトや、父さんのようにダークファルスに人生を翻弄される人達をこれ以上生まない為、微力かもしれないけど歩みを止めないでいよう。
たとえ僕が倒れても、きっと、それは誰かの力になる。
今の僕のように。


エピローグ
「世界が滅ぶのは多分止められないさ。【敗者】から離れた後もそれでいいとさえ思っていたが・・・。悪くない気分だ。深遠なる闇に二度も屈するのも面白くないしね」
ふと背後からそんなルーサー父さんの声が聞こえた気がした。
虚を突かれて振り向くと、そこには守護騎士がいた。
守護騎士も偶々新クラスの件でここに呼ばれて打合せをしていたところ、半ば強引に内なるルーサーにここへ連れてこられたていたのだ。

「あれ、虚空機関に来ていたんですか〇〇さん。でも、こんな何もないところに何か御用ですか?」
空耳かなと改めて守護騎士に近づき挨拶をしようとしたところ、ルーサーが強く表に出た事による【敗者】のフォトンを微かに感じた。
「え、このフォトンは・・・」
しまった、と守護騎士は意識の中でルーサーを睨む。
何か隠していませんか?と迫るランカードを余所に、ルーサーは用事は終わったとばかりに守護騎士にこう告げた。
「そういう訳だ。世界を、彼女を頼むよ守護騎士。だがまずはこの場を適当に誤魔化してくれたまえ」
そう言って【敗者】は守護騎士の意識から消えていった。
後で絶対文句の一つも言ってやる、と思いながら守護騎士はどう誤魔化そうか必至に思案を巡らせていた。
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Comment

  • 2019/04/20 (Sat) 17:44
    BK #- - URL
    No title

    まさかの俺と思しき者の登場、ありがとうございますw
    あの日あの時からは書いていないけど、それを汲み取り、少しだけ触れていただけることがとても嬉しみが(*'ω'*)

    上級クラスから後継クラス。
    名は変われども、そのクラスについての背景を二次創作として生み出すこと、俺も面白く読ませていただきまして候。

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